【災害対応】”一番良い国産ドローン”を考える

近頃、災害対応におけるドローン運用は国産ドローン一択の世界になってきていると考えられます。なぜなのでしょうか?
今回のコラムではその理由に加え、多くの方が疑問に思う”一番良い国産ドローン”について一緒に考えていきたいと思います。


背景:国産ドローンが選ばれる理由

災害対応において国産ドローンの需要が高まっている理由は以下の2つが考えられます

消防本部における、特定の条件を満たした災害対応ドローンの整備には、ドローンの活用推進を図るための地方財政措置として、緊急防災・減災事業積が適用されます。この対象となるドローン機体の要件は以下の通りです。

これらを見ると、一見、緊急防災・減災事業積の適用に国産ドローンは関係ないように思えます。ですが、この制度を適用してドローンを調達する場合、政府による方針「政府機関等における無人航空機の調達に関する方針について」が求められます。機微情報漏洩や操縦不能、乗っ取り等による救助業務への支障等の対応に努めるため、この方針が定められました。詳しい方針の内容は以下をご覧ください。

また、こうしたドローン調達に関する方針における対応の一つとして、以下のような内容を盛り込んだ調達仕様書を提出することが求められています。

①飛行情報や撮影記録情報等の外部漏洩防止に関する事項
・ドローンが収集する情報の送信先及び保存先を網羅的に示すとともに、全ての送信先について、通信経路及び送信先における暗号化等の手段により、【団体名・消防本部名等】の許可を得ていない者による当該情報の取得が適切に防止されていること

②操縦不能や乗っ取り等による業務継続性の逸失帽子に関する事項
・ソフトウェアのアップデート等を行う管理権限者が明確であること
・ドローン及び主要構成要素の製造事業者並びに運行管理システムの運用者を含め、強制着陸、進路変更、飛行禁止区域の設定など、【団体名・消防本部名等】の許可を得ていない者による操縦システムを経由した飛行への介入が適切に防止されていること
・操縦電波の暗号化等の手段により、第三者によるハッキングなどの飛行への介入を防止するための措置が適切に講じられていること

③サプライチェーン・リスク等に関する事項
・機器及びソフトウェア等の開発や製造過程及びアフターサービスにおいて、悪意ある機能の組込みや不正な変更が加えられるサプライチェーン・リスクを低減するための体制を確立していること

④本社等が立地する場所の法的環境などに関する事項
・ドローン及び主要構成要素の製造事業者が、その本社等の立地する場所の法的環境等により、サイバーセキュリティの適切性が影響を受けない理由を示すこと

⑤ドローンの供給安定性に関する事項
・外国からの部品調達など、ドローン又は主要構成要素の製造事業者の供給安定性についてリスク評価し、それに対する対応方策を示すこと

これらの方針や、それに関する対応で求められている条件を満たすには、実際のところ国産ドローンしか選択肢がないと考えられます。セキュリティ上でのリスクを最大限減らすには国産ドローンが最適なのではないでしょうか。

特定重要物資とは国民の生活や経済活動に必要不可欠、もしくは依存している重要な物質を、経済安全保障法に基づき特定重要物資として品目指定する制度です。これに指定されると、国内生産体制の強化に向けた補助金制度が始動します。ドローン機体そのものやバッテリー、モーター、フライトコントローラー、映像伝送モジュール等、様々な範囲に支援が適用されます。これにより、国産ドローンの需要は今後より一層高まると予想されます。公共分野や産業分野などで国産ドローンが選ばれる割合は大幅に上昇するでしょう。


”一番良い国産ドローン”について考える

上記のような背景から、今後さらに国産ドローンの需要・供給が増加すると考えられます。これに伴い「一番良い国産ドローンは何か?」という疑問を持つ人がますます増えていくのではないでしょうか。

しかし、この問いに明確な答えを示せる人は多くありません。その理由に以下の3つの理由が考えられます。

①性能の違い
ドローンの性能には様々な種類があり、どの性能を重要視するかは用途によって異なります。速度や航続距離、センサー、ペイロード、カメラ、GPS、通信など、ドローンには様々な機能が備わっています。そのため、災害対応の中でもどの任務を遂行するかによって、選ぶべき性能は異なります。こうした理由もあり、一番良いドローンを一概に決めることはできません。

②導入後のサポート
ドローンには性能以外にも重要視すべきポイントがあります。その一つが導入後のサポートです。何かトラブルが発生した時、すぐに助けてくれるのか、どれほど手厚くサポートしてくれるのか等は任務の安全性に直結します。100点の性能を持つドローンと、80点の性能でも電話一本ですぐ対応してくれる企業のドローンがあったらあなたはどちらを選びますか?安心してドローンを運用し続けられる環境構築はドローンを選ぶ際の大きなポイントになってくるかもしれません。

③国産の定義
国産ドローンの定義が曖昧であるという点もあります。例えば国産ドローンの中には、日本国内の工場でドローンの組み立てを行なっているが主用部品が海外製である場合、ハードウェアは海外製だがソフトウェアが日本製である場合、日本で設計されたが生産は海外で行われている場合など、様々なパターンがあります。国産ドローンを示す具体的な評価項目が現段階で存在しないため、解釈の違いが起きることもあります。

このような理由から安易に答えを出すことは難しいと考えられます。ドローンによって何を実現したいのかは一人一人違います。目指すビジョンを深掘りし、その答えに寄り添ったドローンを探すことが最適なのかもしれません。


最後に

今回のコラムでは一番良い国産ドローンについて考えました。性能、安全、サポート体制、国産ドローンの定義など、たくさんの事柄について考えました。みなさんなら、どんな基準で「一番良い」と判断しますか?


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