近年、地震や洪水など様々な災害が私たちの身の回りで発生しています。ドローンは被害状況の把握や捜索など、災害現場で活躍することができ、災害対応において欠かせない存在になりつつあります。
そんな災害現場におけるドローン運用に欠かせないことの一つが安全管理です。災害現場は多くの危険が存在し、視界不良や通信環境の悪化なども考えられます。普段とは異なる環境でのドローン操縦となるため、いつも以上に安全に配慮することが求められます。ドローンは災害対応における大きな支援・力となる一方で、安全管理が不十分であると新たなリスクを生み出す可能性もあります。
今回のコラムでは、そんな災害対応におけるドローン運用の安全な運用体制について解説します。
ドローン運用体制の基本構造
災害現場におけるドローンの安全な運用を実現するためには、最低でも操縦者・補助者・安全管理者の3つの役割による体制を整えることが好ましいです。それぞれの役割については以下の説明と図をご覧ください。なお、この3つの役割間では無線通信機を通じて、常時意思疎通を図れることが前提となっています。
・操縦者
ドローンの直接的な操作を行う。操縦技術や機体の使用に関して熟知する必要がある。操縦に専念するあまり、周囲の状況を正確に判断できない場合があるため、ほかの役割との連携が極めて重要となる。
・補助者
ドローンの本体を常に監視する役割。機体の挙動やステータスランプの異常点灯など、わずかな異常も見逃さない操縦者の「もう一つの目」として機能し、緊密な連携を取ることが求められる。
・安全管理者
飛行エリア全体を俯瞰的に監視する。飛行経路や天候、風速などを常に確認し、必要に応じて運用の中断や修正を指示する。その他にも操縦者の補助的役割として、バッテリー残量や機体ステータスの異常などにも注意する。また、操縦者と補助者の連携がうまくいっていない場合には両者の橋渡し役として機能することも任務の一つである。

このように役割を明確に分けてた運用体制を組むことは、責任と権限の明確化、迅速な判断、ヒューマンエラーの防止などにつながります。
運用体制の例
続いて、実災害現場を想定した運用体制の例をご紹介します。ここでは2パターンの運用体制に分けてご説明します。文章だけでは伝わりにくい点もあると思いますので、下記の図も合わせてご覧ください。
・ワンオペレーション
ワンオペレーションとは、その名の通り操縦者が1名の運用体制のことを指します。操縦者が1名の場合、安全管理の観点から操縦者以外が操縦画面を見れるよう大型モニターに映像や機体情報を映し出すことがあります。ですが、このときにHDMIなどの有線接続が必要となる場合が多く、この配線によって操縦者の移動に制限が生じてしまいます。
そこで、このような課題を回避したワンオペレーションの運用体制が、
ワンオペレーション・ツーコントローラー
です。この運用体制では、操縦者が使用するコントローラー①と、もう一つ別のコントローラー②を用意し、コントローラー①からコントローラー②に無線で映像や機体情報を送信します。そして、コントローラー②を大型モニターに有線接続で出力することにより、操縦者はケーブルによる移動制限を受けることなくドローンを運用することができます。つまり、コントローラー②はモニターへの出力専用として利用し、操縦者が実際に使用するのはコントローラー①のみとなります。
なお、画像伝送ツールを使用するとケーブルを使用せず、モニターにデータを出力させることができます。


・ツーオペレーション
これは操縦者が2名の運用体制のことを指し、機体の操縦とカメラ操作をそれぞれ別の操縦者が担当します。それぞれが自らの役割に専念することで、情報の見落としや操作ミスを防ぎ、任務の精度と安全性の向上が期待できます。また、片方の操縦者にトラブルが発生したとしても、もう一人の操縦者が二人分の操縦を担うことができます。ですが、ワンオペレーションよりも人員が必要となるため、限られた隊員の中でどのように人員を確保するかが課題となります。
そこで、このような課題を回避したツーオペレーションの運用体制が、
ツーオペレーションのスイッチ方式
です。この運用体制では、操縦者と補助者の役割を交替しながらドローンを飛行させます。この方法では操縦者と補助者の両方を担う人員が2人いるため、そのどちらもが目視内の範囲でドローンを飛行できる場合に限ります。ですが、どちらか片方が目視外の範囲になったとしても、もう一人が目視内であれば、一人が操縦者に一人が補助者に専念(ワンオペレーション方式)することで、ドローンによる飛行を続行させることが可能です。なお、この運用方法では操縦者が広い行動範囲を確保する必要があるため、有線によるモニターへの出力は現実的ではありません。また、2人の操縦者間での意思疎通が非常に重要となります。


最後に
今回のコラムでは安全管理の一環として運用体制についてご紹介しました。安全なドローン運行は適切な運用体制によって実現されます。組織的なリスクマネジメントはより徹底した安全管理が求められる災害現場でのドローン運用に欠かせません。災害発生時に効果的な活動を行うためにも、平時から整備・訓練を行なっていくことが重要です。
