近年、災害対応におけるドローンの有効性が認知されつつあります。情報収集や救助活動、要救助者の確認など様々な場面でドローンの活躍が期待されます。
しかし、その期待とは裏腹に実際の現場ではドローン導入に関するとある課題が浮上しています。それが、「不透明な基準」です。今回のコラムではこの課題について詳しくご説明します。
ドローン導入に関する制度
消防本部におけるドローン導入に関して、特定の条件を満たすとドローンの活用推進を図るための地方財政措置として、緊急防災・減災事業債が適用されます。その他にも様々なドローン導入に関する制度があります。詳しい内容については以下のコラム冒頭部分をご覧ください。
上記コラムにも記載したように、災害対応におけるドローン導入ではセキュリティリスクへの対応として求められる条件が多くあります。ドローンは単なる飛行機械ではなく情報通信機器としての一面もあるため、機微情報漏洩や操縦不能、乗っ取り等による救助業務等への支障などに対する警戒は非常に重要です。
現場で起きている課題:「不透明な基準」
ドローン導入に関する様々な条件や方針は安全保障やサイバーセキュリティの観点からとても意義のある方針だと言えます。
ですが、その一方で運用のわかりにくさという課題があります。この方針では特定のものや行為を明確に規制しているのではなく、対象となる業務についてサイバーセキュリティ上のリスクに対応する必要な措置を講じることが求められています。つまり、明確な条件や制限が存在するわけではなく、最終的には個別の評価や競技などの不透明な基準によって判断される仕組みになっています。
こうした制度を利用する中で生まれる疑問が
「何がダメなのか」が見えない
です。例えば、とあるドローン機体Aは認められたが、それと似たような構成の別の機体Bは認められず、公開されている基準をもとにその結果の違いを読み解こうとしても不可能なケースがあります。つまり、ドローン機体に関して何を満たせば認められるのか、何を評価しているのか等、導入に直接繋がる具体的な条件を評価の事前に把握することができない状況となっています。これはドローン機体の選定作業における複雑化・長期化につながり、制度の不透明性がドローン導入におけるブレーキとして働いてしまっています。
求められるもの
安全保障やサイバーセキュリティはとても重要であるからこそ、安全かつ効率的なドローン導入のために基準はできる限り透明であるべきではないでしょうか。
アメリカのNDAA(米国国防権限法)にはFCC(米国連邦通信委員会)が管理するCovered Listが含まれています。これは米国の国家安全保障上、容認できないリスクがあると判断された通信機器・サービスをまとめたリストです。このように、基準を明確に示すと、行動や考え方が大きく変化します。災害対応におけるドローンの有効性を十分に把握していても、基準が見えないままでは動きづらいのが現状です。災害時の迅速な対応を実現するためにも、誰もが理解できる明確なルールが必要だと考えられます。海外製部品の許容範囲、サプライチェーンの審査基準など、可能な範囲での条件の具体化が必要です。
