【消防ドローン】誰をドローンの任務に充てるのかー後編ー

災害対応におけるドローンの有効性は多くの人に認知されつつあります。そんな中、消防本部では「誰をドローン任務に充てるのかと」という課題が生じています。新たな技術であるドローンを限られた人員の中でどのように運用していけば良いのでしょうか。本コラムでは二部に分けてこの問題についてみなさんと一緒に考えていきたいと思います。前編のコラムでは課題の詳細や背景、現状についてご紹介しました。今回はその後編として課題を抱えながらドローンを運用していくにはどうすべきか考えます。ぜひ最後までご覧ください。


人間拡張技術

前回のコラムで提示した体力的な制限を緩和する一つの策が人間拡張技術です。人間拡張技術とは、下記の図のような人間の身体能力や認知能力、知覚能力を増強・補完する技術です。こうした負荷や能力を補える技術は体力を理由に消防を諦める人への助けになるため、人材の幅を広げることができます。人間拡張技術を上手く利用することで、性別や年齢、体格にこだわらず、判断力・訓練到達度・技術的など、本人の能力をもとに、任務適性を決めることができます。もちろん体力があるに限ったことはありませんし、こうした技術によって体力差が全くなくなるわけでもありません。ですが、体力という身体能力だけで採用や職域を制限しないシステムへと変化させることが大切だと考えます。


ドローンも人間拡張技術

ドローンも同じく人間拡張技術だと言えます。ドローンを用いて空中捜索を行うと、人がすぐに到達できない地域を上空から直ちに状況把握を行なったり、通信範囲の拡大を行なったり、人間の視覚では捉えられないものを把握したりすることができます。また、物流ドローンを使用すると人が山道を20〜30kg級の資機材を背負って登るという大きな負荷をドローンに移行させることができます。

こうしたことからも言えるように、ドローンは人間拡張技術であり、人が背負ってきた負荷の一部を担うものです。現在、ドローンを運用する上で、その負荷をどこが担うのかという議論がされていますが、本来、ドローンは一人一人の負担を減らしながら消防活動の能力を維持・拡張できる技術です。こうした前提をもう一度踏まえながら改めて「ドローン任務を誰が担うのか」について考える必要があります。


現場実装

また、「誰をドローン任務に充てるのか」ということを考える上で配慮すべきなのが現場実装です。機体やシステムを配備することだけが現場実装ではありません。どの舞台へ組み込むのか、交代勤務の中でどう即応性を保つのか、技能をどう教育・評価・維持するのか、異常時に誰が判断をするのかまで含めて実装を考えなければいけません。運用する人員、役割、勤務体制、安全管理を徹底して設計することで初めて現場で継続的に使える消防力となります。


最後に ー「誰をドローン任務に充てるのか」ー

この課題はただドローン隊をつくれば良いという単純な話ではありません。限られた隊員の中で人不足をどう解消していくのか。どのようにシステムを作っていくのか。誰が補助し、誰が評価するのか。その間元々担っていた任務は誰が維持するのか。夜間・休日・同時災害でも同じ体制が組めるのか。取得した情報はどのように管理するのか。など、様々な側面を考えなければなりません。消防職員の負荷を減らしながら何に力を注げばいいのか、この課題はそこから議論を始める必要があります。


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