ドローンによる鳥獣害対策

近年住宅地に熊が出没し、スーパーへの侵入し食料品を食べるニュースや人を襲ったというニュースを頻繁に見る様になりました。私の住んでいる町にも熊出没の情報が入ってきます。熊以外にもサルやイノシシの目撃情報もあります。悪さをする為に人里まで下りてきている訳ではない事は理解していますが、野生動物ですし生きる為には食べていかないといけないので田畑や住宅地に出没する事が増加傾向にあります。そういった影響で、農業を営まれている方々は深刻なダメージを受けています。農作物の鳥獣被害は、令和5年度の農林水産省の発表によると164億円。その多くが、シカやイノシシによる被害です。鳥獣以外にも気候変化で収穫量も当然変わってきます。田畑の農作物だけでなく人間への被害まで出ている以上、対策を講じる事は必須になってきます。ドローンによる鳥獣害対策と聞いて中々イメージ出来ない方もおられるのではないでしょうか。

今回は、ドローンによる鳥獣害対策について述べていきたいと思います。

鳥獣害対策1:音声による対策

ドローンが使われる前から音声による対策はされてきました。実際に聞いた事があるのですが「銃声」のような破裂音を夜中に一定間隔で流し続けている畑がありました。最初聞いた時は、猟でもしているのかと思いましたが、音が一定で聞こえていたので野生動物対策だと分かりました。動物も賢いので学習される可能性もありますが、効果が見込める対策だと思います。スピーカーが搭載出来るドローンであれば、対策したい動物の天敵の鳴き声を録音し、録音した音声を流しながら飛行させる事で対策が出来ます。実際にカラスやハトの集団に対して音声を流しながら飛行させる事でカラスの被害が減少したという記事も読んだことがあります。ただしこのような対策は簡単ではなく非常に難しいです。対動物になるのでドローンに襲い掛かる事も実際にあります。私も一度だけ経験していますが、飛行させているドローンの周りを一羽の野鳥が旋回し続けていました。数分の出来事でしたが、自分のテリトリーに進入してきたと勘違いしたのか、敵を威嚇する為の行動だったと思われます。また、無理やりドローンにスピーカーを搭載しドローンを飛行させないでください。ドローンの改造になりますし、何よりも安全が担保されませんので、対応可能なドローンで関係各所と連携を取りながら計画を立てて実行に移して下さい。

鳥獣害対策2:赤外線カメラ

赤外線カメラを使用する時は、対策を講じたい動物の行動を把握したりする時に使用します。どのルートから進入してくるのか、何時ごろに行動するのか情報収集を行います。夜間に飛行させる事が多くなると思いますので、飛行させる際は日中に飛行させる以上に注意が必要です。また、原則夜間飛行中の目視外飛行は原則禁止となっていますので、目視内飛行を行って下さい。拠点を構え送信機の映像をモニターに出力し補助者が映像の確認を行う手法がベストです。飛行エリア周辺にも補助者を配置し無線等で通話出来る状態を作りドローンを安全に飛行出来る環境を整えて下さい。また、飛行前に飛行するエリアの環境を確認する事が重要です。送電線や建物、夜間に行動する鳥が生息しているか等事前に調査しておくことが大切です。ご存じの通り動物は非常に敏感で目が非常に発達しています。嗅覚も優れているので細心の注意を払わなければ危険を伴う作業になります。受講者の方でも鳥獣害対策を目的とされる方もおられましたが、空撮とは違う為難易度の高い飛行になります。

ドローンを使用した鳥獣害対策方法の一部をご紹介してきましたが、田畑への被害や人間への被害だけでなく他にも鳥獣被害が問題となっている場面もあります。それはどういうものなのか紹介していきます。

其の1:列車との衝突事故

これは少し都心部から離れた場所になると多いのではないでしょうか。電車が止まってしまう事もあると思いますし大きな影響が予想されます。イノシシ・シカ・イタチ・タヌキ・サルは以外にも近くに生息しています。冒頭でも記載したように、こういった野生動物たちが人里付近まで当たり前のように下りてきます。列車事故のみならず車・バイクとの接触も例外ではありません。

其の2:バードストライク

あまり聞きなれない言葉かもしれません。旅客機に鳥が衝突してしまうことを意味しています。特に離着陸時に発生する事が多く、機体の損傷やエンジントラブルに繋がる可能性があります。2024年12月末頃に韓国でバードストライクにより旅客機が墜落する事故も発生している。空港が沿岸部に集中し、地形変化等で魚が繁殖し易い環境が形成され、その魚を狙って鳥が集まり易くなる環境がうまれてしまいます。空港周辺という事もあり、ドローンで対策するにも限界があると思いますし、別の危険が発生する可能性があります。陸・海・空と無人機を駆使する事で対策が出来るかもしれません。世界中の空港で課題に挙がっているみたいなので画期的な製品が出てきて欲しいと思います。

最後に

鳥獣害対策についてどこまでお伝え出来ているのか分かりませんが、決して容易な事では無いという事。賛否が分かれる部分になると思いますが、鳥獣被害は農家さんだけでなく、農家さん以外の人々にも関係する領域になってきました。問題解決の一手としてドローンが活躍して欲しいと願っています。決して動物に対して危害を加えるという使用方法ではなく、バランスを保つ必要があると感じています。 今回は、ドローンに関連する内容が希薄だったかもしれませんが、実際の対策方法や新たに課題となっている内容をお伝えしました。今回のコラムが参考になれば幸いです。

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