消防関係者に必要なドローン研修

災害現場でのドローン運用は需要が高まる一方、導入後の運用方法が定まらず戸惑うケースが少なくありません。ドローン運用は導入そのものよりも、運用設計や人材の成熟が成果を左右します。また、通常の操縦練習で身に付く内容と、災害現場で必要となる技能には差があるため、用途に合わせた技能の習得が必要です。そこで、本コラムでは消防隊員が受講すべきドローン研修の内容を現場運用の観点からご説明します。

災害現場では初期段階で得た情報がその後の活動に大きく影響します。ドローンによる上空からの視点は幅広い場面で有効ですが、限られた時間の中で正確な情報を得るためには、一般的な操縦技能だけでは不十分です。ドローンを使って何を把握するのか、どこを見るべきなのか、などといったポイントを正確に理解していなければ、飛行そのものが目的化してしまい現場に情報を還元することができません。では、どのような技能を身につければよいのでしょうか。

次の5項目が現場で求められる中心的な技能です。

①情報収集
災害の種類に応じて見るべきポイントは異なります。現場全体から得られる情報の量は、映像の撮り方によって大きく異なります。大雨災害、地震、火災、土砂災害など多様な災害がある中で、観察対象に合わせた訓練を行い、適切な判断材料を集めるられるようになることが重要です。例えば、火災なら火点位置・延焼状況・風向き・可燃物の分布、大雨災害なら浸水範囲・堤防損傷・孤立地点、土砂災害なら亀裂・崩落・流木など、災害種別ごとに確認項目を整理する必要があります。

②安全管理
消防現場は一般的な環境とは異なり、障害物や熱源が多くあります。そのため、かぜ・煙・電線・ケーブル・瓦礫など、ドローン事故の要因となり得るものを予測しながら飛行させる必要があります。また、GPS不安定や機体の故障、通信切断などが現場で起きてしまった場合でも、迅速に対応できるように訓練する必要があります。

③屋内や狭所での飛行技能
建物内やトンネル内での探索は、通常の飛行とは異なる操作が求められます。天井・壁・床を避けながら安定して進むためには、ドローンの姿勢制御に関する特有の感覚が必要です。こうした技術を身につけるためには、距離感や微小なスティック操作、視程確保などを何度もくりかえして練習する必要があります。

④探索の基礎知識
ドローンによる上空からの捜索活動では、シグナルの特徴、効果的な探索パターン、複数のカメラの使い分けなど、重要なポイントがたくさんあります。これらを的確に理解していなければ、重要な箇所を見落とす可能性が高まります。

⑤情報伝達
静止画・動画・リアルタイム・マップなど、様々なデータ形式のうち、どの情報を、どの形式で、どこに、どのようなルートで渡すのか、さらにはそれらのデータをどのように保管していくのかなど、ドローンによって得たデータを的確に管理する必要があります。データを収集するのみではなく、その後の活用法まで理解しておくことが重要です。

ドローンは導入が簡易である反面、運用設計が不十分なまま運用されることが少なくありません。特につまづきやすいのは以下の項目です。

・訓練は単なる操縦技術が中心で、災害対応への応用ができていない
・屋内や狭所での飛行経験が不足しており、現場での判断に困ることがある
・ドローンによって取得したデータの管理方法が明確でないため、継続運用が難航する
・現場での詳細な役割分担が不十分なため、任務が滞りやすい

こうした課題のほとんどが、適切な研修を受けることで解決することができます。

消防向けのドローン研修を選ぶ際には、次のポイントを重視することをお勧めします。

・受講者の習熟度が数値や段階などで、客観的な再現性のある方法で評価されているか
・災害想定に基づいた訓練が含まれているか
・屋内やGPS不安点環境での訓練があるか
・ドローンを使用した捜索技術の基礎が体系的に説明されているか
・現場での安全管理や情報伝達まで含む一連の流れを使用した講習が行われているか

このように、機体の操作だけではなく、効果的な情報の集め方やその伝達方法まで扱う研修が有効的です。

消防でのドローン運用には、単なる空撮では無く災害対応に特化した技術が必要です。今回コラムでご紹介した内容が、ドローンに関する理解や取り組みのにおいて、お役に立てれば幸いです。

操学舘ドローンスクールは災害対応特化型ドローンスクールとして、消防・災害現場を想定した訓練を行なっております。気になることがございましたら、ぜひご相談ください。

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