小型無人機等飛行禁止法とは?ドローン飛行のルールを徹底解説

『原子力規制委員会が九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の敷地内で、ドローン3機の飛行が確認されたと発表したことについて、九電は27日夕、敷地内と周辺でドローンは発見されなかったと明らかにした。佐賀県警とともに今後も捜索を継続する。

 一方、規制委は同日、確認されたのは「ドローンとみられる三つの飛行体」だったと訂正した。現時点で断定はできないためとしている。』と7月28日讀賣新聞オンラインで報じている。

発見された時間が夜9時頃だった為、ドローンかどうかの判断は非常に難しい所ではあります。距離があるとプロペラの回転音も聞き取りづらくなりますし形状も視認するのは困難です。「三つ」というキーワードが出ているので、3人で1機ずつ飛行させていたのかもしくは自作機を一人で飛行させていたのか、という想像が頭に浮かんできますが、いずれにしても原発上空を飛行させていたなら小型無人機等飛行禁止法に抵触しています。この法律は一体どういうものなのか解説していきます。

小型無人機等飛行禁止法における規制の概要

小型無人機等飛行禁止法においては、重要施設及びその周囲おおむね300mの周辺地域の上空における小型無人機等の飛行が禁止されています。

この法律が制定されるきっかけとなったのが、2015年4月22日に内閣総理大臣官邸の屋上で小型無人機が発見された事が発端となりました。この時の操縦者は逮捕されていますが、興味本位で飛行させた訳ではなく計画的に行われた悪意のある飛行でした。

佐賀県の原発での事件は、図を見て貰えば分かる様に重要施設に該当する為、ドローンを飛行させる事は禁止されています。空港や自衛隊施設も含まれます。

規制対象となる小型無人機等の飛行

  • 小型無人機を飛行させること

  ・無人飛行機(ラジコン飛行機等)

  ・無人滑空機、無人回転翼航空機(ドローン等)

  ・無人飛行船 等

  • 特定航空用機器を用いて人が飛行すること

・気球

・ハングライダー

・パラグライダー 等

飛行禁止場所も決められており、

・対象施設の敷地・区域の上空(レッド・ゾーン)
・周囲おおむね300mの上空(イエロー・ゾーン)

となっています。国土地理院地図で確認する事が出来ます。実際に今回の玄海原子力発電所の地図画像を添付しておきます。レッドゾーン・イエローゾーンが地図上に表示されているのが分かります。

飛行禁止の例外

ここまで飛行禁止の説明をしてきて、例外が存在するの?という感じですが、下記に例外を記載します。警察庁のホームページからも確認する事が出来ます。

・対象施設の管理者又はその同意を得た者による飛行

・土地の所有者等が当該土地の上空において行う飛行
・土地の所有者の同意を得た者が、同意を得た土地の上空において行う飛行
・国又は地方公共団体の業務を実施するために行う飛行


ただし、対象防衛関係施設及び対象空港の敷地又は区域の上空(レッドゾーン)においては、

・土地の所有者若しくは占有者が当該土地の上空において行う飛行

・国又は地方公共団体の業務を実施するために行う飛行

であっても、対象施設の管理者の同意が必要です。

また、飛行禁止の例外にあたる場合であっても、対象施設及びその周囲おおむね300mの周辺地域の上空で小型無人機等を飛行させる場合、都道府県公安委員会等への通報が必要です。通報の詳細は下記URLより確認する事が出来ます。

小型無人機等飛行禁止法に基づく通報手続の概要(警察庁関連HP)

違反してしまった場合、違反に対する警察官等による命令・措置ですが、警察官等は、小型無人機等飛行禁止法の規定に違反して小型無人機等の飛行を行う者に対し、機器の退去その他の必要な措置をとることを命ずることができます。
また、一定の場合には、小型無人機等の飛行の妨害、破損その他の必要な措置をとることができます。要するに警察官等から飛行停止命令を無視した場合、力づくに停止させられます。あくまでも違反者に対してとなりますので、違反しなければ良いだけの事です。

違反に対しての罰則も決められており、

・対象施設の敷地・区域の上空(レッド・ゾーン)で小型無人機等の飛行を行った者
・小型無人機等飛行禁止法第11条第1項に基づく警察官の命令に違反した者

は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金 に処せられます。

かなり重い罰則が科せられてしまいます。関係法令なども警察庁ホームページから確認する事が出来ますので確認してみてください。

最後に

今回は、タイムリーな話題に触れてみました。原発に限った事ではありませんが、撮影が趣味で日本に限らず海外でも珍しい建物や景色をカメラに収める方々は大勢いらっしゃいます。ただ、ルールというものは存在しルールを遵守した上で撮影する必要があります。今回の事件以外にも海外旅行者の方が、ドローン飛行禁止の観光地で飛行させて問題になっている報道も過去に何度も見ています。ドローンも小型化が進み、パーツさえ入手出来れば自作も可能になっています。法律の遵守はもちろんモラルある行動も当然求められます。私個人的には、どうしてもドローン=おもちゃの意識が離れない方々が一定数存在すると思っています。実際そういった方は、説明会でもおられますし重く捉えていないと感じる時があります。40年程前にラジコン飛行機やラジコンヘリが流行っていた時代のイメージが色濃く残っているかもしれません。ただ、時代は変化し進化しています。今回の、小型無人機等飛行禁止法のように、一つの事件や問題から新たなルールが生まれることもあります。

このコラムが少しでも役立てば幸いです。

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