近年、ニュースではドローンが頻繁に取り上げられており、ドローンに対して「戦争で使われる兵器」というイメージを持つ人も少なくありません。
ですが、ドローンには「災害から人命を守る」という大切な役割があります。災害現場における効率的かつ安全な救助や復旧を支えるのがドローンです。本コラムでは、人を守るためのテクノロジーとしてのドローンをご紹介します。
なぜ、戦争でドローンが注目されるのか
ドローンが戦争で使われる理由は以下の3つが考えられます。
①低コスト
ドローンは低コストで量産することができ、複数のドローンを用いることで戦車にも対抗することができます。こうした低コストかつ高い攻撃力がドローンの選ばれる理由の1つだと考えられます。
②兵士の安全管理
ドローンは遠隔操作により無人で飛行します。そのため、危険度の高い任務であったとしても人命を失うことなく、相手を攻撃することが可能です。
③精密な任務
ドローンを活用することで広範囲における高精度な偵察・監視が可能です。赤外線カメラ等を使用すると昼夜問わず観察できます。こうした技術を用いて相手の情報を収集し、戦略の決定に役立てられていると考えられます。
ドローンの技術
一方で、ドローンは様々な場面で私たちの生活を支えています。農業の効率化や、高所作業の代替、自然観測、エンターテイメントなど様々なジャンルで社会に貢献しています。その中でも、本コラムで注目するのは災害対応でのドローン活用です。危険性が高く、人による任務が難しい場所でもドローンを用いることでいち早く活動することができます。では、実際にドローンのどのような技術が災害対応に役立つのでしょうか。
ドローン活用実績
ここではドローンが実際に使われた4つの事例についてご紹介します。
①建物火災(令和6年、兵庫県)
木造住宅一階建で起きたこの火災では、消火戦術や安全管理のための情報収集にドローンが活用されました。火災現場でドローンを活用することにより、火勢・風向き・筒先配備・屋根の状況・延焼の危険性等に関する情報を収集することができます。この火災では光学カメラを用いた全2回の飛行が実施されました。1回目の飛行では火勢や延焼状況、2回目の飛行では屋根の燃え抜き状況などを中心に情報収集が行われています。リアルタイムで情報を把握し、共有することで、筒先員の配置や消火戦術の決定、安全管理に寄与しました。
②林野火災(令和7年、愛知県)
この林野火災では全4回、総飛行時間約50分のドローンによる活動が行われました。初期の飛行では消防隊の配置やホースラインの延長計画のために情報収集を行なった後、消化活動を上空から監視することで活動隊員の安全管理に寄与しました。赤外線カメラを使用することで放水された水が熱源に届いているかを確認することもでき、消化活動の効率化にも貢献しました。飛行の後半では赤外線カメラを用いて熱源の探索や鎮静状況の把握を行いました。また、延焼範囲の俯瞰画像を撮影し、2Dオルソ画像の作成も実施されました。
③水難救助(令和6年、京都府)
この事例では消防ヘリの隙間を埋める存在としてドローンが用いられました。消防ヘリが活動できない明け方や燃料の給油中にドローンを飛行させることにより、上空からの情報収集における時間の隙間が生まれません。そのため、状況が変化したとしても問題なく対応することができます。また、消防ヘリよりも低い位置で捜索活動が可能なため、水位や濁りの変化などにも配慮した詳細な捜索活動を実施することできました。
④土砂災害事例(令和5年、奈良県)
車2台が巻き込まれたこの事例では様々な場面でドローンが活用されました。発災地点の確認や大型土砂の有無、埋没車両の確認等をドローンで実施しました。埋没車両のうち1台からは白煙が上がっており地上からでは延焼場所の特定が困難のため、上空から赤外線カメラを搭載したドローンで撮影することにより熱源の位置を特定しました。また、大型重機による土砂の排除や車の救助活動などの一連の流れを上空から監視することで、安全管理にも貢献しました。終盤にはドローンによって2Dオルソ画像を作成し、他機関との協議にも活用されました。
この他にも、高層建物での火災や道路の陥没など様々な災害でドローンが活用されています。
最後に
ドローンは兵器というイメージを持たれやすいかもしれませんが、人を守るためのテクノロジーでもあります。本コラムがドローンを正しく理解するための一助になれば幸いです。
今回コラムで紹介した活用事例の他にも、様々な災害でドローンを活用することができます。詳しくは下記のコラムでご紹介しておりますのでぜひご覧ください。
